丸めて投げ捨てられた馬券に自己投影する

ぼくのバイト先のある街はギャンブルのできる施設が多い。

 

競馬、競輪、パチンコ、スロット、競艇、なんでも一通り揃っている。

 

生活はだいたい何にたとえても違和感がないので、落ち込んでる時は場外馬券売り場の隅に丸めて投げ捨てられた馬券がぼくの象徴であるような気分になって来るし、気分がいい時は500万下のレースを制した5歳馬の猛烈な追い込みに自分を重ねたりする。

 

現実世界のいいところはそんな風に出会った何かを示唆するような出来事は何ひとつぼくの行く末や心情には関係ないところだけれども、賭け事に負けて眠るために入った漫画喫茶の天井をぼーっと眺めていることにすら何かを感じてしまうのはぼくが自分自身をまだ物語の主人公だと信じているからなのか。